東大もと暗し
東大の弥生(農学部)キャンパスで開かれたシンポジウム
「生物多様性と農業」にやってきました。

9人の講演とパネルディスカッションがありました。
これだけの講演者が一同に会することは滅多にないと思います。
はしべ
2005年(昨年)は、ウガンダで開催されたラムサール条約第9回締約国会議で
マガンの越冬地、宮城県の蕪栗沼が周辺水田とともに湿地登録されたこと、
兵庫県豊岡市でコウノトリの放鳥があったこと
(その背後に環境に配慮した稲作がある)の2つのことが相前後してありました。
日本の稲作にとって歴史的な転換点になる出来事ではないでしょうか。
そうした時代の流れにふさわしいシンポジウムだったと思います。

始めに豊岡市コウノトリ共生課の佐竹課長からコウノトリと共生する
町をめざす豊岡市の取組についての講演がありました(本来は市長が講演する
予定でした。市長の話も面白いのですが、佐竹課長の話は実務者の視点があり楽しめました)。
続く第1部では各地の取組として蕪栗沼周辺でのふゆみずたんぼの取組、
琵琶湖周辺での固有種ニゴロブナを守る「魚のゆりかご水田」の取組、
新潟の笹神での取組(約30年生協との産直活動を通して取り組んできた)を
それぞれ環境団体、行政担当者、地区の農協の役員という異なる立場から
紹介がありました。
昼食を挟んだ第2部では農学的観点からの2名の講演がありました。
東北大の伊藤先生からは農学的にふゆみずたんぼを研究した現時点での成果
(冬期湛水や不耕起の土壌成分、抑草、メタン発生などに与える効果)の
発表がありました。
民間稲作研究所の稲葉先生からは、日本の稲作が生き残る道は、
有機の稲作への転換であること、そのためには、低コスト、地元の資材を
活用した循環型の有機稲作と抑草技術の確立がポイントであることが
指摘されました。
続く第3部では、生物多様性を保全する農業を支援するさまざまな主体の取組として、
弊社社長、全農SR推進事務局、パルシステム連合会から発表がありました。
休憩を挟み、今回の主催である鷲谷教授より生物多様性を保全する水田の経済価値についての
研究の紹介があった後、パネルディスカッションは、フロアからの質問、意見を主体に行われ、
さまざまな意見と議論が活発に行われました。
今回はフロアからの指摘もあったように、「生物多様性と水田」といった様相が強かったのですが、
来年度は田んぼ以外の牧草地や畑などにテーマを広げ同様のシンポジウムを開催したいとの
鷲谷教授よりの総括がありシンポジウムは締めくくられました。
講演者の幅が非常に広く、東大で開催されるシンポジウムとしては
異色のものだったのではないかと思います。
大学院の演習の一環としても開催されていたとのことですが、応募者は他の研究科の人が多く、
農学生命科学研究科の人はほとんどいなかったとのことでした。
農を志す学生にも聞いて日本の農業を変えてもらいたいものです。